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お知らせ

メルマガ第45号「日本一短い法律」について

2016.6.15

梅雨の時期になりました。
2016年ももう折り返し地点にさしかかり、わけもなく、焦った気持ちになってしまいます。
皆様、充実した年の後半をお過ごしください。

6月のメルマガは倉敷店の吉田が担当いたします。

お客様に「日本一短い法律」の話をすることがあります。それは「失火ノ責任ニ関スル法律」(失火法)、明治32年(1899年)制定の1条しかない法律です。

内容は

民法第七百九条 ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス

たったこれだけです。
かいつまむと

民法709条の規定は、失火の場合にはこれを適用せず。ただし、失火者に重大なる過失ありたるときはこの限りにあらず。

民法709条は故意、過失により損害を与えたものは損害賠償義務を負うというものですので、自宅がよその火事で類焼してしまった場合は失火した人に損害請求できないと規定した法律なのです。
逆に、自分の過失で失火してしまった場合も類焼した相手に賠償しなくてよいということになります。

条文後半にある「失火者の重大な過失」の定義になりますが、「重過失とは、通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすればたやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに漫然とこれを見すごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すもの」と最高裁の判示があります。
判例としては

★天ぷら油を火に掛けていながら、目を離し油に引火したケース
★火のついたヒーターに灯油を給油していたケース
★寝たばこが布団に引火したケース

などがあります。
重大な過失かどうかは裁判を起こさない限り決まりませんので、自分で大切なお家を守るためにも、火災保険のご加入は大切なこととなります。

なお、借家、テナント等の場合はすこし異なる話となります。
自分の重過失で失火し、ご近所に賠償しなければならない場合、賠償しなくてよくてもお見舞いはしたいであるとかいろいろなことが想定されますが、保険の特約等でカバーできることもあります。

気になる方は弊社にぜひお問合せください。